フィリピンは本当に危ない所なのか?犯罪のケース、どうしたら危険を回避できるのか?


「フィリピンは怖いところ!」


何度か訪れた人たちもこういうのであれば、大体の人は信じてるでしょう。否定はしません、日本と比べたら治安は悪いです。

旅行・滞在は、決して日本にいる時と同じ感覚で過ごすべきではありません。しかし、数年住んでみてそこまで危険なのか?少々疑問です。そして、それらの人たちが危険だというのは経験に基づいた主観であることが多いため、客観的にどれぐらい悪いのか気になるところです。

View from the immigration in Manila
マニラの風景:入国管理局の裏手


目安として、 国際連合薬物犯罪事務所(United Nations. Office on. Drugs and Crime)のデータを見てみますと、各国比較をすると以下のようになります。 

各国殺人発生率比較

日本
■殺人発生率(人口10万人に対して)0.4 %  (506名) 2009年度
 強姦(人口10万人に対して)1.2 % 2009年度
■フィリピン
 殺人発生率(人口10万人に対して)5.4 %  (4947名) 2009年度
■タイ
 殺人発生率(人口10万人に対して)5.4 %  (3703名) 2009年度
■オランダ
 殺人発生率(人口10万人に対して)1.1 %  (179名) 2009年度
 →日本よりも発生率は高いのですね。
■アメリカ
 殺人発生率(人口10万人に対して)5.0 %  (15399名) 2009年度
 強姦(人口10万人に対して)28.6 % 2009年度
■ホンジュラス
殺人発生率(人口10万人に対して)70.7 %  (5265名) 2009年度 ちなみにホンジュラスの人口は775.5万人。


 これを見せて、ホンジュラスと比較してフィリピンが安全とは毛頭言うつもりまはありませんが、日本と比較して殺人事件の発生率が高いことがわかります。

 フィリピン国家警察( Philippine National Police/PNP )統計資料(犯罪統計)によると、 2011 年のフィリピン全土の犯罪件数自体は 前年2010 年より 23 %減少が見られるものの、 2011 年にマニラ首都圏で発生した犯罪はフィリピン全体の約 20 %に上り、このうち殺人事件が約8%,強盗事件が約 29.3 %,強姦事件が約 10.3 %を占め、犯罪が凶悪化しているという指摘もあります。また、フィリピン国家警察によれば,フィリピン全土には密造銃が 60 万丁以上出回っており、それらが犯罪に用いられているとされています。マニラ首都圏での犯罪、銃器をを用いいての犯罪が多いことがわかります。

Marikina City
移動式の遊戯施設



邦人殺人事件の多い国?!

また、フィリピンは世界の中でも邦人の殺人事件が多い国となっています。フィリピン人と何らかの接点を持ち、商売上を含め何らかのトラブル怨恨等に起因するものが少なくないと推測されます。昨年末にも、邦人が殺害されるという事件をインターネットの新聞記事で目にしました。

フィリピン人妻が怨恨を理由に、妻の彼を含め親族と相談、殺し屋(実行犯)を数万円払って雇い殺害に及んだそうです。邦人男性とそのフィリピン人女性は20年ほど交際を続けており、邦人男性はそのため日本とフィリピンを行き来していたようです。その後結婚し、退職を機にフィリピンに住むことになったようです。事件の詳しい背景はわかりませんが、20年もの逢瀬の末に一緒になった後にこうした事件になってしまったというのは何とも痛ましい限りです。

フィリピンの犯罪の特徴

在フィリピン日本国大使館が昨年6月に「フィリピンにおける安全対策」に、フィリピンの犯罪の特徴として以下挙げられています。
ア  凶器(特に銃器,刃物等)を用いた犯行
イ  偶然(行きずり)というよりもターゲットを絞った犯行
ウ  フィリピン人との何らかのトラブル(人的/怨恨,商売等)に起因した犯行
エ  単独犯というよりも組織的な犯行
オ  外国人コミュニティーにおける自国民による自国民に対する犯罪(恐喝,強請等)

 アの凶器(特に銃器,刃物等)を用いた犯行は、フィリピン人ですら被害者となります。

ケース1:

ジプニーに乗車していたら、見知らぬ男が近づいてきて隣に座った。空いている車内でおかしいと思いつつも気にせずにいたが、気がついたら拳銃を突きつけられていた。抵抗せず、持っているお金と腕時計をあげて事なきを得たようです。フィリピン人の友人が被害に遭いました。
ジプニーの特に夜間の一人乗車は避けるべきです。すでに犯罪グループが乗り込んで、ターゲットの乗車を待っているということもあります。

ケース2:

ショッピングセンターでコーヒーを飲んでいたら、オーストラリア国籍という身なりもそれなりにしっかりした白人男性が、パスポートとお財布をなくして困っているという相談をしてきました。大使館に行く為のお金とパスポートの再発行の為のお金をかして欲しいと言われ、そんなに困っているならと貸してあげたそうです。白人男性は荷物を置いて出かけて行ったそうですが、そのまま帰らずお金は持ち逃げ、置いていったカバンは何ら価値のないもの(雑誌のみ)でした。

このケースの非常に厄介なところは、人の「困っている人がいたら助ける」という良心に訴えてお金をだまし取ったという点にあります。全ての人を疑え!という訳ではないものの、見知らぬ人が突然話しかけてきたら、用心に越したことはないです。そして、信頼できる人と分かるまでは自分自身のこともあまり話をしないというのが良いと思います。(勿論、思わぬところで出会った人と友達になったりすることも往々にしてあるのですが・・・)

ブログ「こんな詐欺の手法があるのか!(自称)オーストラリア人?の詐欺師、マニラで被害に遭う邦人も!

ケース3:

フィリピン大学構内で強盗が携帯電話と所持金を要求してきたものの拒否し、殺害されてしまった事件。私の友人が被害者の知り合いということも有り、「万が一強盗にあってしまった時には絶対抵抗してはダメ」とアドバイスをもらったのを覚えています。ちなみにフィリピン大学構内は、人の出入りが自由かつ構内は広く、そして夜は大変静かです。近年、事件が増え構内の警備を強化するように大学に通う学生の保護者から大学側に要求があったと言いますが、それで警備が強化されたのかは定かではありません。

その他にもニセ警官に拉致されかかったり、タクシー強盗にあったりと物騒な事件をニュースで、あるいは知人から聞きます。

ニセ警官については、厄介なことに本物の警官も犯罪に関わっていることもあり、警官を含めた犯罪グループに合わないように願うばかりですが、言いがかりを付けて署まで連行すると言われても絶対彼らのバン、車には乗車しないこと。その場で、誰かの助けを呼ぶ、あるいは 02-838-3203/0916-787-0885 (英語)に電話することが推奨されています。

他にもタクシー強盗等もあります。空港からタクシーに乗り込んで、目的地とは異なる場所に連れて行かれ、金目のものを奪われる等。犯罪グループが運転手示し合わせている場合もあります。不幸にも強盗にあってしまった場合は、抵抗しない。命より大切なものはありませんので。

危機回避のためにできること

怖いことばかり書いて恐縮です。周りの知人たちは、10年から20年程フィリピンで生活をされていますが、強盗の類に一度もあったとこがありません。そして著者自身、幸いなことにこれまでフィリピンに生活をしてきて、危ない目に遭ったことやスリや強盗にあったことはありません。運がよいのかもしれませんが、それと同時に日常はちょっとだけ気をつけて過ごしていると思います。

気をつけていることは、とっても一般的です。

① 危ないと言われる地域の把握

地元の人もあまり近づかない地域を把握しておく。

②夜間の移動を避ける

といっても仕事やパーティーなどで遅くなる場合は、誰かに途中まで一緒に帰ってきてもらうなど、一人の夜間の移動を可能な限り避ける。どうしてもという場合は友人宅に泊めてもらうことも。

まず深夜一人でのタクシーの利用は避けること、タクシーのドアロックがしっかり掛かっているのかを確認すること、そして運転手に明るく比較的大きな道を通ってもらい、知らない道を通ったら運転手に元の道に戻るように言うなどすべきでしょう。

③ 親しげに近づいて来た人に自分のことをたやすく話さない

声をかけられた時に一人であった場合は「連れ」がいるように装う。

④ 服装はシンプルに

現地の人と同じような格好をする。目立たない。

⑤ 知らない場所に行ってもキョロキョロしない

そのためにしっかり下調べして、道を知っている振りをして歩く(笑)

⑥ カバンは後ろに背負わず前に

格好は悪いけど、ものが抜き取られることは防げます。

⑦ 人ごみを避ける

マニラのような場所に住むと難しいですが、地元民すらお財布を人ごみでスられたりします。

⑧ 部屋、宿泊先の鍵をしっかり掛ける

壊れかかっているものを放置してはいけません。ホテルなどでも鍵の締りが悪い部屋は取り替えてもらうのがベストです。

著者の安全を気にかけてくれる友人が長期の滞在の時に防犯ベル・催涙スプレーをプレゼントしてくれました。特に夜が遅くなる時にはそれらを携帯しておりました。幸いなことに一度も使ったことはありません。

なぜフィリピンが危ない!と言われるのか

フィリピンが危ないと言われるのは恐らく、邦人殺人が諸外国に比べて比較的多く、話題がセンセーショナルだから、そうしたイメージがついたのだと思います。そして、旅行者がスリやひったくりなどに遭ったりするケースも周辺でも聞かれ、それらの情報が広がるためだからだと思います。

一方、邦人関係の事件やトラブルに関する記事を読んでいくと、日本人男性とフィリピン人女性との間の意思疎通が語学などの関係でしっかりなされていないことや、互いの文化や風習の違いによるストレスなどが読み取れます。フィリピンの家族主義と日本の近年の核家族化による家族の結びつきの違い、また家族間の助け合いなども大きな夫婦やカップル間の争点となります。違いが発展して事件に結びつくという訳ではありませんが、最低お互いの言葉と同意をしないまでも文化の違いを理解したいところです。

フィリピン人の方との結婚を考えておられる方、あるいはパートナーがいる方は、英語のみならずタガログ語かビサヤ語などをお金を払ってでも語学センターで学ばれること、フィリピン人のパートナーの人にも日本語を学んでもらうことが一歩だと私は思います。語学学習と異文化理解を犯罪という文脈で書くのは適切ではありませんが、それらがあることで夫婦・パートナー間の深い理解を深め、親族を含むあらゆる人間関係のトラブルの回避にもつながると思います。

心がけ注意を怠らず生活・旅行していたら、起こりうる危険やトラブルは回避できると思います。基本的には、明るく、困っていたら当たり前のように人を助け、年長者をいたわる心遣いを持つ国民性のフィリピン人。個人の主観が入りまくりですが、東南アジアでは人との関わりを楽しめる国だと思います。夏休みの旅行先の候補となりますように。

万が一のために大使館の所在地と連絡先リスト

在フィリピン大使館
Philippines Embassy of Japan
2627 Roxas Boulevard, Pasay City, Metro Manila, 1300, Philippines
(P.O. Box No. 414, Pasay Central Post Office, Pasay City, Metro Manila, Philippines)
電話: (63-2) 551-5710
Fax: (63-2) 551-5780
http://www.ph.emb-japan.go.jp/index_japanese_version.htm
行き方:タフト駅からトライシクル

在セブ出張駐在官事務所
Cebu Consular Office of Japan in Cebu
7th Floor, Keppel Center, Samar Loop cor.
Cardinal Rosales Avenue, Cebu Business Park,
Cebu City, Philippines.
電話: (63-32)231-7321、231-7322
Fax: (63-32)231-6843
http://www.ph.emb-japan.go.jp/about/cebu%20j.htm

在ダバオ出張駐在官事務所
Davao Consular Office of Japan in Davao
Suite B305 3rd Floor, Plaza de Luisa Complex, 140 R. Magsaysay Ave., Davao City 8000, Philippines
(P.O. Box No. 80637)
電話: (63-82) 221-3100
Fax: (63-82) 221-2176
http://www.ph.emb-japan.go.jp/about/davao%20j.htm

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