神の見えざる手

「神の見えざる手」経済の話をしようとはしていません。カトリックの人たちのコミュニティに居るため、見えざる神の意図、個々人にかける計画についてしばし話になります。

インド人の研究者がオランダに来た経緯を話してくれました。医療分野研究者である彼女はポストドクター、博士号(ドクター)取得後に任期制の職に就いている研究者です。一年のみの任期でオランダに来ており、インドの国立大学に籍を置いています。

彼女が博士号を取得した時は、まさに困難の時だったといいます。論文を提出して2年を経てようやく博士号を得たと聞きました。オランダの私が知る限りの流れは、論文を指導教官に提出、そこで承認を経て後、論文を精査する委員会に提出します。委員会で精査される期間は4~6か月!、その後論文発表をして、博士号取得者となるわけです。6か月!と聞いて「長い」と思いましたが、周りはこのような感じらしいです。しかし、彼女のケースの2年というのは何かのいやがらせでしょうか。

ちなみに博士号後は研究職になるか、国際組織などに勤めるかいろいろな道がありますが、当然博士号を既に取得していることが前提となります。精査期間というのは、博士号取得者とはみなされません。なので、とくに大学などの職に就くのは待っている期間では難しくなるわけです。2年間、彼女は能力がありつつも不安定な雇用の間をさまよい歩かねばなりませんでした。

2年を経て博士号取得した際、ちょうど地域の国立大学でまさに自分に用意されたポストではないかと思われる学科の開設があり、人員の募集があったといいます。彼女はそこを受け、見事ポストを手に入れたとのことでした。もし、彼女が6か月ほどの精査機関で博士号を取得していたら他の仕事に既にアプライして、この理想的なポストには応募しなかったであろうと言っていました。ちなみに、国立大学のポスト、コネ・賄賂なしで地位を獲得できたのは奇跡!と述懐しています。

のちのち聞くと予定調和的な話という印象を受けますが、様々なドラマがあり、当人2年間は先行きも定まらず苦しい期間を送ったことかと思います。

望むものが得られない人生もあり、また予期せぬ形でそれを得る時もあります。けど、彼女の話の肝は難しい時にも見えざる何かに導かれている、あるいは自分は大丈夫という確信でした。勿論、彼女自身やるべきことをやって、それゆえの結果とも見えますが、やるべきことをしてもうまくいかないことはいくらでもあるわけです。しかし、確信を持つことで、自分の足場を固めているように感じました。彼女の場合は、神様でしたが神や仏を信じていなくても、何かしらの大きな力が自分の人生に作用していることをふとした時に感じる、そう人生を見つめるという時も必要に思いました。

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