ヨランダ(台風ハイヤン)から3年―スーパー台風と温暖化の関係

台風30号(ヨランダ)がフィリピンの中部を横切り、強風と高潮による高波が襲い、死者6,200名以上、行方不明者1,700人以上、負傷者2,800名以上、台風通過地域の家屋の80パーセントは破壊され、壊滅的なダメージをもたらした。その台風から早3年が経ちました。

ヨランダによるダメージ
ヨランダから約3カ月のレイテにて撮影

台風ヨランダ

発生~フィリピン中部通過

2013年11月5日に発生した台風は11月7日にフィリピンの管轄内に入り、ヨランダと命名。フィリピンに向かって移動する中、その中心気圧は徐々に低下し、900ヘクトパスカル前後となりました。

のち、更に中心気圧が下がり895ヘクトパスカルに達し、中心付近で風速65メートル、最大瞬間風速90メートルを記録しました。

台風は現地時間11月8日午前4時40分頃にフィリピン中部のサマール島に上陸し、レイテ島、パナイ島とフィリピン中部ビサヤ諸島を横断して南シナ海へ抜けました。

台風の威力―証言から

最大瞬間風速は85mを記録、「朝の5時ぐらいから猛烈な風で・・・、1メートル先すらも見えなかった」。コミュニティを訪問した際に、聞いた話によると、強風によって視界は完全に閉ざされ、前進することもままならず、怖くて家族でトイレに籠ってやり過ごした、しかし屋根は強風によって剥がされて、皆ずぶぬれだったのだとか。家屋は甚大なダメージを受けたものの、家族はみな無事だったといいます。

ヨランダによるダメージ レイテ



台風と温暖化の関係は?

この台風で、地球温暖化の影響を真剣に考えた人が周りに何人もいました。異常気象は、自然変動でも起こる場合があり、どういった異常気象が温暖化によるものか、自然変動によるものかは、よくわかっていません。

しかし、温暖化で台風の発生件数は減るものの、威力は強くなるという研究報告があります。温暖化で水蒸気が増えて、台風が増えると思われたものの、シュミレーションでは温暖化により上昇気流が弱くなり大気の循環が悪くなり、結果として発生件数は減るようです。しかし一度台風となったら自力で発達し、水蒸気の多さゆえに強い台風になります。強い台風とは、強風域の大きさと風速の強さで測られます。


地球はどれぐらい温暖化しちゃうの?

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年)に、気候システムの温暖化には疑う余地はない”と明記しており、これからの100年間で、どれくらい平均気温が上昇するか4つのシナリオを提示し予測を示しています。温暖化の対策をしない場合は、もっとも気温上昇が高いシナリオで、2100年に2.6度から4.8度の気温上昇を予測。次に高いのが、1.4度から3.1度の上昇。次は、1.1度から2.6度の上昇。一番気温上昇予測が低い6シナリオで、0.3度から1.7度の気温上昇が予測されています。


気温が上昇したらどうなるの?


ビルに入っている線は各所に巡らしているダムが決壊したら、達する水位を示しています。
IPCCの報告書で、気温上昇による影響の指標を挙げています。まず、猛暑、洪水など異常気象が増加。熱帯の感染症発症地域の拡大(デング熱にかかり死ぬ目にあっているので、これは恐ろしいと実感できます。) 、作物の生産高の減少、水資源の減少、海水位の上昇。そして最終的には 多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスクにさらされます。


じゃあ、どうするの?

考えてください(汗)。と無責任に言い放ってしまいたくなります。その理由の一つは、やはり個々の取り組みは微々たるもの、自己満足で温暖化を止める何らの力にもならないと思ってしまうのではないかと思うためです。 科学者でない限りは厳密には何がどう役立っているのかよくわからず、また政策策定にかかわるものでない限りは、命運を分ける政策の決定には関わられず無益に感じるかもしれません。産業や社会の仕組みが大きく変わらぬ限りはこの大きな温暖化の流れを止めることができません。しかし、一方でいろんな関わり方があり、なかなか限定できないということも理由の一つです。

いずれにしてもできることから始めるしかないのでしょう。小さくても具体的に何かを始めることで、環境と生活を結びつけやすくなると思います。行動で具体性を増していくことで、知識も深まり、家庭と職場において意識をもった活動ができるのではないかと思います。

環境に優しい家電なるものはあるのか?どの産業が温暖化に大きな影響を与えており、それが私たちの生活にどうかかわっているのかなど。


最後に

お手伝いしているNGOがフィリピンの台風で影響を受けた地域で環境教育、トレーニングと植林活動をしています。参加してみてはどうでしょうか?(←結局宣伝?)
気候変動の問題は、ハザード(気候に関連する物理的事象)、曝露、ぜい弱性で自然と人間への影響が図られます。それを考えたときに、NGOの活動がそれらすべてを網羅するプロジェクトを提案できるわけではありません。しかし、自然の影響を受けやすい環境にいる人たちから学ぶことが多い現地の活動は、意義深いものになると思います。


用語
ハザード(災害外力):人命の損失、負傷、その他の健康影響に加え、財産、インフラ(社会基盤施設)、生計、サービス提供、生態系及び環境資源の損害や損失をもたらしうる、自然又は人間によって引き起こされる物理的事象又は傾向が発生する可能性、あるいは物理的影響。本報告書では、ハザードという用語は通常、気候に関連する物理的事象又は傾向もしくはそれらの物理的影響のことを意味する。
曝露:悪影響を受ける可能性がある場所及び環境のなかに、人々、生活、生物種又は生態系、環境機能・サービス及び資源、インフラ、もしくは経済的、社会的又は文化的資産が存在すること。
脆弱性:悪影響を受ける傾向又は素因。脆弱性は危害への感受性又は影響の受けやすさや、対処し適応する能力の欠如といった様々な概念や要素を包摂している。
気候変動2014年 ipcc報告書―政策決定者向け概要より
http://www.ipcc.ch/pdf/reports-nonUN-translations/japanese/ar5-wg2-spm.pdf

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