フィリピン―ゴミ問題への一つの対処策:エコブリックス(eco bricks)

この数年、ヌエバエシハの若者と日本の若者(日本最大!と言われる学生を主力とするNPO)と共にエコブリックスを作ってまいりました。エコブリックスとは、ソフトドリンクの飲んだ後の空のペットボトルにプラスチックのごみを詰めて作るある種の〝ゴミ”を再利用したブロックです。

一つの空きペットボトルにはかなりのごみが入ります。フィリピンでよく使うサック(お米などを入れる袋、日本では約45~60リットルのごみ袋と同じサイズでしょうか)一袋分ほどのごみが入ります。

エコブリックス製作活動に没頭するフィリピン人、日本人ボランティア
作り方は、コーラやペプシなどのソフトドリンクを飲んだ後、それを洗い、乾かし、プラスチックのごみを詰めていきます。日本でもそうですが、ここフィリピンでも多くのプラ系の多くのごみが出ます。1ペソの飴玉の包装、洗剤や使い切りシャンプーのごみ等々・・・それらを詰めていきます。竹や丈夫な木の棒などを用いてゴミを圧縮して、押し込んでいきます。その作業を黙々と続けていきます。目安は、ペットボトルが押してもへこまない固さになるまで。かなり根気がいる作業です。

できたエコブリックスは、さまざまな用途に用いられます。花壇の柵になったり、コミュニティの養殖池の周りを囲む飾りとなり、そしてベンチを作ったり、人によってはそれで家を建てたり!とさまざまです。

ヌエバエシハ州hilario e. hermosa high schoolのガーデン
たかがゴミじゃないか!と侮るなかれ。フィリピンにはゴミの焼却炉そして、地方ではゴミ収集システムがなく、ゴミがあふれています。道に、用水路に、学校内に、はたまた家の中まで!至る所にゴミがあります。

どこにでも捨ててしまうフィリピン人をモラルがないと糾弾することは簡単ですが、ゴミ回収システムがなく、分別の習慣がないことでゴミに対する意識が薄いことは確かでしょう。
大人から子どもたちまでも、ゴミは適当に対処しておけば、風が運んでその場からは消えてなくなり、問題は解決すると思っている節はあります。

エコブリックスは、ゴミ焼却炉がなくゴミの分別と回収のシステムがない場所にとっては有効な手段だと私は見ており、現行の問題に対処する一つの方法になりえると思います。エコブリックスの作成はさらに、以下のようなメリットが見られると思います。

ゴミへの認識

一日にどれほど多くのごみを出しているのか、気づきます。日本では一日何リットルのごみを出している等々の統計がありますが、それを実際の量として目で見て認識する機会はないと思います。
フィリピンだけではなくて、日本でも消費しては捨てて、また消費する我々のサイクル。消費社会と言われて久しいですが、エコブリックスの活動で、ゴミへの認識と我々の生活への考え方を見直すきっかけになります。

分別回収の習慣

ここではいろんなゴミがいっしょくたです。なぜなら、ゴミは収集されてごみ山に捨てられるがままです。あるいは、庭先でプラスチックも何もかもいっしょくたにして燃やしてしまうからです。ひどい煙とにおいがします。
エコブリックスを導入することで、プラスチック系とその他のごみをわける習慣が身に着きます。

ポイ捨てが減少
これは、コミュニティのリーダー+実際クリーンアップ活動をやってみての実感ですが、昨年よりも道のごみが減りました。
理由は、汚いコミュニティへの恥じらいとゴエコブリックス作成による相乗効果と思われます。

このエコブリックスを作る際には、まずコミュニティ内のクリーンアップ活動をします。そして、それらのごみをもエコブリックスの材料にします。乾いた”きれいな”ゴミを使うというのが理想ですが、それでは現行に対応できません。

クリ―アップ活動をするフィリピン人と日本人ボランティア(IVUSAさんの学生)

外国人の若者が遠路はるばるやってきてコミュニティ居住者が散らかしたゴミを拾って行くのはなんとも恥ずかしい!という思いがあるとたびたびコミュニティのリーダーたちから聞きます。フィリピンではとりわけ、お客をもてなす文化があるためその客人たちがもてなしを受けず、ひたすら掃除をするのはフィリピン人の「ホスピタリティ精神」に反します。なので、今まで捨てていたものを思いとどまらせるきっかけになったのだとか。

また、エコブリックスを作り始めることで、ゴミが分別され、ボトルに貯めていく習慣ができたのだとか。現地の学校では、エコブリックスを作ることを生徒の課題にしており、今までそこらへんに捨て置いたゴミを見直すきっかけになりました。

つながりあい、現在文明に想いを馳せる時間に

近所の下水。。。「ゴミを捨てるな」「ここで立ちションするな」と書いてあるのですが、そんなのはお構いなしです。
エコブリックス作成は時間が必要ですが、ゴミを詰めながら楽しくおしゃべりという時間にもなります。私は、つい作業に没頭してしまうのですが、作業しながらお話を楽しむ人々もいます。また、大量のごみを実質目の当たりにして現代文明を考える時間にもなります。

プラスチックは、私たちの生活を便利にしました。しかし、同時に廃棄できない、ゴミ処分場にあるプラスチックは分解されず半永久的に地上に残ります。それらの問題は次世代に持ち越されます。もちろん、近年は分解される買い物袋を提供するスーパーなどが増えてきましたが、それらは大手のスーパーのみです。
エコブリックス作成のため、分別開始・・煙草の吸殻も入っており、分別が終わるころには手が真っ黒に。
ひとまず分別完了!

ゴミ蓄積度85パーセント―もうちょっと入ります。
私自身への課題として、私の第二の故郷であるビコールでエコブリックスを作っていく運動をいかに始めるか、同時に現在の滞在地であるオランダでエコブリックスを超えて何ができるのか、情報を集めたいと思っています。

その小さな一歩として、昨日ビコールのアテネオ大学付属高等学校で、エコブリックスと若者ができる活動としてお話させてもらいました。授業30分前に頼まれたのですが(笑)なんとか授業でのお話をまとめられました。また、旦那の実家にあるゴミを今ペットボトルに蓄積中です。

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