フィリピン観光省の新プロモ「sight」はCopycat(模倣)?!

リタイヤした日本人のウチムラさんが、出演・ナレーションしたフィリピン観光省のビデオが「炎上」したことは、先日のブログ「フィリピンの新しい観光誘致プロモーションビデオの波紋」でお伝えした通り、国際的な広告会社Mc Cannが手掛け、119回目の独立記念日に万全を期して発表されたプロモは、南アフリカが発表した”Meet South Africa”のキャンペーンに酷似、いや真似たと非難を浴びました。

"SIGHTS" TVC 60s (Department of Tourism - Philippines)、youtube ビデオスクリーンショット
フィリピン観光省:https://www.youtube.com/watch?v=k6w7fwDrIzo



Copycat問題

ニュースのフィードバック欄には「copycat(模倣)」の文字があふれています。しかし、今回のような真似の問題は実は過去に何度かありました。

Copy"cat"?
(写真:スイス猫のレオ)


初期の観光省のキャンペーンロゴ(Pilipinas Kay Ganda)がポーランドのPolskaに酷似しているといったこともありました。また、数年前に大ヒットした観光省のプロモ「It's more fun in the Philippines」などもありました。このスローガンはスイスが1950年代に自国のPRのためのスローガンとして"It's more fun in Switzerland!"があります。ただ、このケースの場合は50年以上を経ており、またプロモーションの方法も異なり、違いが見られます。

しかし、今回のようなビデオなどの視覚に訴えるプロモーションでは、その真似ぶりが鮮明となってしまいました。

"SIGHTS" TVC 60s (Department of Tourism - Philippines)、youtube ビデオスクリーンショット
フィリピン観光省:https://www.youtube.com/watch?v=k6w7fwDrIzo


観光省の対応

Mc Cannとの契約は、前アキノ政権から引き継いだもの(現政権の責任ではない!と言いたいのでしょうか?)、今回の件で企業による公式謝罪を求め、同時に契約を打ち切る方針を発表しました。

ただビデオの酷似性あるいは模倣であるかを訴えた際に、法的にはどこまでフィリピン観光省の訴えが取り上げられるかは分からず、企業の作成したもので顧客の満足を得られなかったという点で契約が打ち切ることができると理解しました。


法的にはどうなのか?

ビデオ製作の発想や構成の相違・相似点から著作権云々を論じることはきっと技術的に難しく、また幸いにも南アフリカ側は訴えを起こそうという動きは現時点ではないようです。実際は「広告」の元々の役割である、人とのコミュニケーション上の問題でこじれるのではないでしょうか。「真似た」あるいは「酷似していた」が故に受けが悪かった。

日本でも2020年のオリンピックのエンブレムがcopycatだと問題となり、訴訟問題にも発展したケースがあったことは記憶に新しいかと思います。佐野研二郎氏がデザインした五輪エンブレムが、オリビエ・ドビ氏のデザインしたベルギーの劇場ロゴに酷似していました。

トビ氏は、国際オリンピック委員会を相手に、エンブレムの使用差し止めを求めてベルギー・リエージュの裁判所に訴えを起こしました。法律の技術論的に述べるならば、トビ氏のデザインは商標登録されておらず、またエンブレムは文字と合わせて使用されているために、佐野氏のエンブレムを「模倣作品」であるトビ氏の訴えを取り上げることは難しかったようです。しかし、エンブレム問題が、単なる法律論争ではなく、倫理的かつ感情的(人々の納得を得られるか?)という問題を大きくはらんでいるということがこの件からも理解できます。

ネガティブな反応以外

この広告論争をフィリピン人の脚の引っ張り合いと見る人もいます。なぜ、自国のプロモーションをけなすのか?とのこと。自虐的だと言いたいのかもしれません。
また他の反応として、ビデオに出演しているうちむらさんは実在の人物。その人のコメント/ナレーションを用いているのだから、真似ということは問題にならないのではないかという反応もありました。南アフリカのプロモの場合、ビデオを観る限りでは出演している男性が何者か、フィクションとして作られているのか等は分かりません。なので、フィリピンのビデオはリアリティがあるとのこと。

ただ、上記の通り倫理的問題と人の感情という問題から、上記の特にはじめの点は的を得てないように思われます。

結局どうなった

最終結論は現時点では出ていませんが、上記の通り観光省は広告会社との契約を打ち切り、一般入札にかけるようです。そして、早々に先日観光省のyoutubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=k6w7fwDrIzo)のビデオは削除されています。

個人的には、日本人が出演しており、映像も美しく、前回のビデオAnakよりはリズミカルでフィリピンらしさがあったビデオ、そしてこれは国のプロモーションとなるビデオだったので、真似ているという点でかなりがっかりです。しかし、これにめげず美しいフィリピンを宣伝し続けてほしいと願うばかりです。

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