フィリピンの公共交通機関ー長距離バスの旅(1)その良さ、困ったこと

フィリピンで長距離バスを利用し始めると、旅費が安くなります。また、場所によっては飛行機の国内線を利用するよりも便利な場合もあります。フィリピンの長距離バス利用の利点、使い方、また実際どうだったのか?まとめました。
Naga city bus terminal
ビコール地方、ナガ市の長距離バスのターミナル
ここから、マニラ方面、レガスピ方面のバスがでてます。

フィリピン長距離バスの良いところ

1. 安定的に安価でお財布にやさしい

バスは飛行機よりも安いのはもちろんです。例えば、マニラービコール(ルソン島南部の地域)間では、飛行機では平均して片道2,000ペソほどかかります*。ところが、バスでは平均800ペソほど。もし、もっと安くしたいという場合は、エアコン無しのバスで一列3席というバス、400ペソほど。ただ、約10時間の旅のため、あまり居心地は良くないのでおススメはできませんが、安く旅をしたいという旅人やローカルの強い味方です。
セブパシフィックの国内線
典型的なフィリピンの地方空港の様子
セブパシフィックの国内線

*飛行機会社は時々セールを行っており、片道1,000ペソという航空券を手に入れられることもありますが。オンラインセールが始まって1時間以内にも売り切れてしまうということがほとんど。

2. 便数が多いので予定が調整しやすい

場所によりますが、近郊の町(マニラ―ラグーナ間、マニラーバタンガス間)などは、一時間に3本、もしくはそれ以上という場合も。遠方行き(5~10時間以上の旅)でも1時間~3時間に一本という頻度が多いと思われます。そのため、都合に合わせやすいのが利点。

3. バス会社を選べる

飛行機と同じく、複数の会社によって運行されています。そして、行く方面によってバス会社が変わります。ルソン島の北部、バギオ方面に行くバスとして知られるVictory liner(ビクトリーライナー)ですが、他にもGenesis  Transport(ジェネシス・トランスポート)などがあり、サービス、出発・到着時間等のスケジュール、乗り心地、などを加味して選ぶことができます。
エアコンバス・ノンエアコンバス?バス会社の他、エアコンかノンエアコン(窓をあけての自然風)のバスか選択可能です。もちろん、値段は前者が高い。しかし、ノンエアコンは安いうえに寒すぎないという利点も。

4. 停留所がアクセスしやすい場所にある

首都圏マニラの東部においては、EDSA通り沿いに長距離バスの停留所が集中しています。
著者が頻繁に利用する、マニラービコール間のバスの停留所は、ケソン市のクバオ、EDSA通り沿い、あるいは大型ショッピングモールのそばであり、電車でのアクセスが可能です。また、観光客に人気のルソン島北部へのアクセスは、これもEDSA通り沿いの高架鉄道のGMAカムニング駅から徒歩圏内など、重い荷物をもった旅行者にとってもありがたいアクセスのしやすさです。

5. WIFIがある

ある程度のクラスのバスにはwifiが完備していることも。強さはそこそこです。フィリピン人の好きなFacebookなどソーシャルメディアを楽しむには差し支えない程度の強さです。

6. 出発までの時間等の節約

飛行機のように数時間前に空港に行かねばならないということはないため、時間の節約となります。特に、マニラ発のバスとなると、出発場所までのアクセスに渋滞のため時間がかかることは必須。早めに到着するに越したことはありませんが、万が一アクセスに時間がかかっても、よほどのこと無い限りに乗れないということはありません。

7. 全体の旅行時間の短縮

飛行機が一番早い乗り物。しかし、場所によっては乗り継ぎの関係でバスとの所要時間があまり変わらないということも。特に、飛行機の国内便はマニラ、セブ、ダバオ、レガスピ等の各地方の中心都市間は結んでいるものの、規模の小さい地方空港同士は飛行機の直行便はありません。例えば、レイテ島に居て、著者の夫の実家の最寄り空港であるナガに飛行機で行きたいという場合は、飛行機はナガに空港があるにも関わらず、一度レイテ島からマニラ、そしてマニラからナガに向かうことになります。その場合は、長距離バスの方が、所要時間と費用的にもお得となります。

長距離バスのちょっと困ったところ・長距離バス利用で驚いたこと

一方長距離バスも万能ではありません。移動にはもちろん飛行機と比較して数倍の時間がかかります。その他著者が長距離バスを乗車して少々困ったことや驚いたことは以下。

1. 極寒の長距離バス

フィリピンの長距離バスの中は死ぬほど寒いです。フィリピンであるため、旅行に上着を持っていかないという場合もありますが、そういう場合はエアコンバスは使用しないに限ります。エアコンの設定温度は16度ほど!しかし、移動中は動かないため、体感温度はそれ以上に低くなります。時にバスの運転手や車掌さんにお願いして、上げてもらいますが、彼ら曰く温度はあらかじめ設定してあるため「温度はかえられない」とのこと。ほんとかよ!という感じですが、それ故にエアコンは切ったり、入れたりしてくれますが、それでもものすごく寒いです。著者は冬用のジャケット着用です。

2. 長距離バスターミナルに直接出向いて予約

多くの場合は、長距離バスの予約は直接バス会社兼そのターミナルに出向いて、支払いと発券をしてもらわないといけません。近年はオンライン予約、電話予約も受け付けていますが、多くは直接出向いて、予約、発券です。

3. 数カ月先の予約ができない+往復の発券ができない

全てのバス会社一律ではありませんが、数カ月先の予約が難しいこともしばし。2カ月先の予約も厳しい場合もあります。もちろん、バスをそれほど前もって予約する必要はないかもしれませんが、クリスマスやローカルのお祭りがある時期などはバスチケットは売れに売れます。そのため、前もって予約できるか否かはとても重要です。

また、一部のバス会社では会社の予約システムの関係上、往復のチケット予約ができません。そのため、到着後すぐに戻りのチケットを購入するなどの対策を取らないといけません。くれぐれも短期旅行者は、帰国日とバスでのマニラ到着日を同じ日とすることがないように、予定を組みましょう。

4. リクライニングをマックスで倒す乗客

フィリピンでは、リクライニングを後方の乗客に断りなく倒すのですが、多くはマックスに近く倒します。著者はバス酔いの関係でリクライニングを倒さず、また眠らないため、前方の乗客がこのような行為に出るとおのずと、前方の席との隙間は10センチ足らずとなり、きつきつとなることも。こういう時には遠慮せず、前方の人にお願いして、少々リクライニングを起こしてもらいましょう。

6. 定時で出発しないことも

長距離バスを運行する大手の会社は定時の出発を心がけていますが、ピークでない場合は、乗車率がものすごく低いこともあります。著者は、わずか5名ほどの乗客しか乗車していない長距離バスを体験したこともあります。バス会社としては、収益を増やすため乗客を一人でも多く乗せるべく、ターミナルに長く滞在することもあります。そのため、急いでいる場合には少々こまります。

7. 大荷物の乗客の隣となる

トランクに積まないで、自分の席に荷物を持ち込む乗客もいます。しかし、時に荷物の量が半端ないほど、大きく、幅をとることも。近年は、持ち込み荷物の重量の制限を行うようになりましたが、それでも荷物の量が多い場合も。

8. 子連れ客の隣

バス代節約のため、長旅にも関わらず子どもを膝に乗せたまま移動するお客さんも。ただ、座席は狭いため最終的にあなたも子どもの「寝台」の一部に。悪気があってやっているわけでもなく、そして情けは人のためならずですが、数時間の旅では少々しんどいのが本音。もし、バスの席に空きがある場合は移動させてもらいましょう。小さい子連れのバス移動はノン・エアコンの1列6席でよくみられます。
ただ、これを通じてローカルの人とお話できたりします。

長距離バスの利用に際して

上記の利点や、懸念する事項、そして予算などに合わせて、使用するバスを決定し、支払い、発券、そして当日はターミナルに早めに到着しておくこと。

バスのクラス

エアコンバスの中でもクラスがあります。エアコンあるいはノンエアコンか、全体の座席数、トイレの有無によって値段がかわります。
一番安いバスは、ノンエアコン、座席数一列6席、トイレなしというもの。大体は車体は古いものが多いです。1列に6席あるいは5席。左右に3席ずつという配置です。
高いバスは、エアコン、トイレ付、座席数は一列3席。車体は比較的新しく、快適に旅ができます。値段を比較すると、前者と後者は3倍ほどの開きがあります。これをマニラとビコールの地方都市ナガの長距離バスの値段で比較すると、前者が400ペソ前後にたいして、後者は1200あるいは1300ペソです。

予約・支払い・発券

予約は、窓口での手続きが主流です。バスのクラス、スケジュールを告げたあと、登録用紙に名前、もしフィリピン国内の番号がある場合は記入します。電話番号は、万が一バスが運行しなくなった場合にテキストでのメッセージが、登録番号に届く仕組みとなっています。

支払いは、現金です。お釣りがある場合はその場でしっかり数えましょう。そして、名前と座席番号が印字されたチケットが発券されます。誤字がないかを一応確認します。*誤字については、飛行機のように表記された文字と、実際の名前が異なっていた場合に乗車できないということではありません。

ちなみに、中距離の都市間を結ぶバスでは、予約は不可、名前等の登録の必要はなく、乗車時に料金を車掌に支払います。

ターミナルには最低15分前に到着

飛行機のように2時間前に空港についていないといけないということはありませんが、バスも最低15分前(バス会社ごとに規定がある)にターミナルに到着し、乗車予定のバスのコンダクターにチケットを見せて、乗車している必要があります。出発間近になっても乗車予定のお客さんが現れない場合は、置いていかれる可能性もあります。

フィリピンタイムと言われて久しいフィリピンの時間感覚ですが、バス会社の多く、特に長距離を運行するバスは定時の出発を心がけています。著者の頻繁に利用するバスは、時間前でも乗客がそろっていた場合は、5分や10分早く出発するということもありました。

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