フィリピンの教育再考

フィリピンは小学校6年、高校4年という10年制の教育制度から、小学校6年、高校(日本でいうところの中学校)4年、就職・大学進学準備、(日本でいうところの高校)2年というK12という教育システムに移行しており、2016年にはこの足された2年のうちの1年目の実施、2018年には新しい教育制度を経験した学生が大学に入学することになります。現在、その準備のため各地でセミナーなども盛んに開催されています。K12のKはKindergartenのKです。

新しい制度の導入の背景には、基礎学力の低下、国際的な競争で不利益を被る、そして若年者が労働環境で適応する問題等が挙げられています。

1.基礎学力の低下

フィリピンなどの国での教育レベルはあまり高くないという話をしばしば話題にあがります。話では、大学出たけど、世界の大国の地理的位置が分からない、掛け算が出来ない等です。
特に公立校出身で、教育にあまり力を入れていない都市出身の学生の学力は惨憺たるものと聞きます。
他国では12年で行う教育を10年に詰め込んでいるため、教育の質が低下していると言います。実際、国際的な理数系科目の能力をはかる調査では、参加国の中で下位となっています。

2.国際的な競争で被る不利益

12年の基礎教育を基準とする海外の大学に進学する際に問題が生じたり、職場での格付けが違ってきてしまい、給与にも差が出てしまいます。K12は魔法の解決策のように見えますが、実際は実施は大変難しいもののように思えます。

1. 教室の不足

フィリピン、特にマニラでは小学校は午前の部と午後の部に分けられており、朝は早く7時ぐらいから授業が始まり、お昼には慌ただしく午後の部の学生がやってきます。あるいは教室を仕切ってつかうなどの策を取っております。また、教室の不足から職員室を教室にして、教職員は物置、中にはトイレとして使っていた場所を替えて職員控室に使っているという話、ニュースをみました。
教室の不足の他、ファシリティもあまりきれいとはいえない場所も多く、以前見学させてもらった学校のお手洗いはひどいものでした。

2.教員の質

フィリピンの教員は基本は国家試験を通った人が付ける職業です。ただ、給与の低さなどから教員免許を持ちつつも海外でもっと稼げる職につくという事態もあり、頭脳流出なども言われ続け久しいです。また近年の学力低下が教員の質すら低下させているという状況といいます。

3.教科書やマテリアルなどの不足

日本のように無料で配布していません。もちろん公立校は無料ですが、貸出で、教科書をシェアする形を取っています。破損、紛失はペナルティものです。
先日私立の高校に通う甥っ子の教科書を購入するのに付き合いましたが、全教科で約5000ペソ(10,000円)ほど。高いです。ひと月の給与が10,000ペソぐらいの家庭でしたら、絶対に子どもを私立には入学させられないでしょう。

こんな状況で、K12に移行していって大丈夫なの?と私はお役人さんに聞きたいです。学校校舎の増加、教員の給与と待遇の増加ができるように、政府が予算をしっかり組むべきでしょう。また、公立校に入学する学生の親が文具や制服ないの必需品を買うことができず、子どもを入学させられない、あるいは通わせ続けられないという話を聞きます。何らかの支援策が欲しいところです。

ちなみに、こうした状況に乗じて、政治家がスクールバックやノートを自分の名前入りで親を通じて配布するなどの話を聞きます。勿論、票集めの一環です!こうした政治家は徹底的に一蹴されるべきですが、多いに活用しておいしいところだけ貰ったいいと思います(汗)なぜなら、いまのフィリピンにこれらの政治家を浄化するだけのシステムがないから・・・・政治家先生のありがたい「無償の寄付」として理解するのがよいのかと話を聞きながら思います。

持てる者は更に富み、持てないものは更に持てないまま、世代で固定化されてこないか心配です。

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