「個人的」に殺害した―殺害認めたドゥテルテ大統領

多くのフィリピン人が待ちに待ったクリスマスシーズン。そんなフェスティブモードも吹き飛んでしまうような、ニュースの画像が毎日のようにお茶の間に流れます。

横たわる遺体、身体を貫いた銃弾、その傷口から流れ出る血、それを囲む群衆。

大統領就任後、毎日のように聞く、そして観るこれらのニュースによって、死に対する感覚が半ば麻痺しそうになるこの現状に一般市民は、怒り、目まいを催し、または治安が改善されたと歓喜します。

それでも大統領は国民の人気に支えられています。

しかし、一つのターニングポイントともいうべきニュースが、フィリピンの国内を賑わせています。「ドゥテルテ大統領が犯罪者殺害を認めた!」
とくに、欧米系メディアが昨日から繰り返し鬼の首をとったように報道しています。

とうとう、認めたぞ!と。

殺害容認のニュース

12日、ビジネスリーダーらとの会合で、ダバオ市長時代に犯罪者を「個人的に」殺害したと発言。ダバオ市の市長時代に、地元警察に手本を示すために大型バイクで町中を走りパトロールし、殺人に遭遇する機会を探していたといいます。そして、(殺害を)「個人的にやった」とした上で、「私にできるのに、どうしてあなたたちにはできない?」と問い掛けました。

上院の司法委員会を率いるリチャード・ゴードン上院議員は、ドゥテルテ氏が自身の発言により弾劾手続きへの可能性を開いたと指摘しています。

フィリピンの共和国史上初、弾劾されたフィリピン大統領はエストラーダ氏。直接の原因は、株式不正取引、そしてミンダナオ島での治安悪化に対する対処の不適切さが弾劾を後押しました。エドサ革命2*が起こったのは、エストラーダ大統領時です。

弾劾の手続き

下院の3分の1以上の賛成でその手続きが開始されます。弾劾告発書が上院に送付される、それによって、最高裁長官を裁判長、上院議員を判事とする弾劾裁判所が上院に設置され、裁判が実施されます。
下院からは検察団、大統領側からは弁護団が代理人として出廷します。罷免に関する投票では、最高裁長官には投票権がなく、上院議員の3分の2以上が大統領の非行を確信して罷免を支持することで罷免が確定します。


弾劾裁判となるか?


弾劾の難しさは、上院下院ともに大統領派と言われる政治家が多いこと。そして大統領の人気が高く、弾劾する政治家が自らの保身のために弾劾を恐れ、賛成票が3分の1が集まるのかというここと。

多くが大統領は「黒(殺害を指示した+自らも手を染めた)」と思っていました。しかし、決定打にかけていました。大統領がダバオ市長時代に組織したと言われるデススクワットのメンバーが公の場で証言した、公聴会では証言は明確であったにも関わらず、証人の証言の一貫性の無さが指摘され、打ち切られました。

>>マトバトの証言―ドゥテルテ元ダバオ市長の超法規的殺害についての公聴会http://globalleaner.blogspot.nl/2016/09/matobatoduterte.html

しかし、今回の大統領自身の明言によって、大統領派の結束も幾分か揺らぐと考えられ、賛成票の3分の一を集めることが可能になるのではと考えられます。

クリスマスはフィリピンの経済は活性化するものの、お役所もどこもかしこもクリスマスを理由に仕事がはかどらない時期。こういう時期ながらも、国民の信任を得た政治家たちには、大統領の発言の是非を問うて、もうひと押し、がんばってほしいと思います。


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